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スターデルタについて

スターデルタ始動方式とは、どういうものでしょう。

電動機のスターデルタ(Y-Δ)始動方式とは、電動機の始動電流を制限する最も簡単な減電圧始動法です。
始動時だけ電動機の固定子巻線を、スター(Y)結線とし、各相に電源電圧(定格電圧)の1/√3を印加し、電動機が加速し、
始動電流が減少した後、素早くデルタ(Δ)結線に切り替えて、直接電源電圧を印加して運転に入る方式をいいます。

配線の機器構成

電動機回路の開閉は、電磁接触器で行います。
MC52が始動運転用電磁接触器、MC6がスター(Y)結線用電磁接触器、MC42がデルタ(Δ)結線用電磁接触器です。
2は、限時動作接点をもつタイマを表します。

「始動」から「運転」への動作
始動条件が入ると、MC6 、MC52投入、タイマ2がカウントを始め、電動機はスター(Y)結線で、回転し出します。タイマ2がカウントアップすると、MC6が釈放し、約0.25秒後にMC42が投入され、Δ(デルタ)結線に切り替わり、運転状態に入ります。
始動時間
電動機を始動すると、直入れ時の33%の始動電流が流れ、電動機の回転上昇と共に、始動電流が減衰していきます。数秒後に電動機は定格回転速度に達し、電流値が定格電流(運転電流)に落ち着きますが、この時間を始動時間といいます。タイマ2は、電流値が定格電流に落ち着いた後にタイムアップするように調整します。
注意点
スターデルタ始動の場合、スターからデルタに切り替わる時に大きな電流が流れることがあります。始動中に一旦電圧がオープンになるところが、スターデルタ始動方式の宿命的な欠点です。切り替えのタイミングにご注意下さい。
また、スターデルタ始動の場合、始動トルクが直入始動100%に対して33%から始動するため、始動途中で力不足になることがあります。この状態のまま、デルタ結線にタイムアップすると、始動電流が減衰していないので、更に大きな電流が流れてしまうことがあります。こうなると、ブレーカがトリップして始動できなくなる場合もあります。
スターデルタ始動法を使用される際は、始動トルクにもご注意下さい。

スターデルタ始動法の原理

電動機の巻き線の接続を下図に示すように始動時スター接続として電源を供給すると、
一相の巻線の電圧は(1/√3)Vとなって始動電流は減少します。
このときのスター始動の電流はIy=V/√3・Zとなります。(Zは巻き線の各相あたりのインピーダンスです。)

相当に加速された状態を見計らいデルタ接続に切り替えて、相電圧を電源供給電圧として定常運転状態に移行します。
電流は、最初からデルタ状態で始動した場合、IY=(√3V/Z)となることからスター始動との比はIY /IΔ=1/3となります。
このようにスターデルタ始動の場合、例えば直入れ始動で定格電流の6倍の始動電流が流れるとすると、その1/3つまり2倍に抑えられます。

しかし、ここで注意しなければならないことは、始動トルクの減少とスターからデルタに切り替えるときに発生する突入電流です。
始動トルクについては、相電圧の二乗に比例することからスター及びデルタ接続時の始動トルクをTY、TΔ、とすると、TY/TΔ=1/3となり直入れ始動時の1/3まで減少します。

スターデルタ始動法の特性

スターからデルタに回路を切り替えるとき、電動機は電源から切り離され再接続されます。この時、電動機は回転しているので残留電圧を持っています。残留電圧は、残留磁気のみによって発生されるものではなく、二次巻き線内の残留電流によって鉄心が励磁されるために発生しています。この残留電圧は再接続されるときに電源の位相と一致していれば問題はありませんが逆位相の場合は、過電圧で直入れ始動したのに相当し、直入始動電流以上の大きな突入電流を発生させます。

他の様々な減電圧始動法の中で、特性および価格などの兼ね合いから最も多い始動方法であります。
但し、先述の様な問題がある為、軽負荷向きに限定したい。
大容量や重負荷、発電機電源、電圧降下懸念の時は、リアクトルやコンドルファなどの始動器の検討をお勧めします。

よくあるお問い合わせ

スターデルタ始動の回路でスターマグネットの短絡側の結線で、短絡片(線)取付けが当たり前と思っていたのですが、近頃、各端子で相変接続(RをS、SをT、TをR)してある制御盤を見かけます。目的、違い、他を知りたいのですが。

お問い合わせありがとうございました。
お問い合わせの内容はスターマグネットの短絡方式がスター結線とデルタ結線では何がどう違うか?ということでよろしいでしょうか。

*マグネットスイッチの片方を3相短絡・・・・スター結線
*R出力→S入力 S出力→T入力 T出力→R入力・・・・デルタ結線

この場合の違いはマグネットスイッチ接点に通電される電流値が異なってきます。
デルタ結線の場合はスター結線の1/√3の電流値になります。
従って電動機容量が同じであればデルタ結線の方が小さな容量で済むことになります。
マグネットメーカのカタログを見てもスターデルタ始動の場合のスターマグネットはこの2通りの結線について推奨する型式が記載してあります。
それを見ても Y と Δ ではΔの場合の方が小さくなっています。
ただしこれは200V級の時のみです。400V級の場合は極間の電圧が高くなるので推奨はされていません。

以上よろしくお願い致します。

中古プレス機械の主電動機(AC200V 30kw)の起動時デルタに変わる瞬間(デルタ用コンタクターは一瞬オン)ブレーカーがトリップします。
モーターの絶縁は正常(無限大に等しい)および断線、短絡箇所も測定済みで問題ありません。
HCモーターなのでカップリングにかかる電流をゼロにした状態で、デルタ起動(直入れ)しても同様でした。
モーター結線を外して、コンタクター回路動作確認しましたが、正常です。トリップの原因は何でしょうか?

以前、問題なく稼働していて結線もそのままとすれば機器以外に変わったところは電源だけという事になりますが・・・・
電源が変わってブレーカがトリップするのは考えにくいところがあります。
デルタに変わる瞬間(デルタ用コンタクタ―が一瞬ON)とありますが現在スターデルタ始動なのでしょうか?スターデルタだと電源パワーがあるとデルタ投入時の電流は大きくなりますが30kW位の電動機だとそれほどは過度的な電流は流れないと考えられます。

モーター結線を外して、コンタクター動作のみだと問題がなく直入始動するのにトリップするということは電動機自体が正常ではないのかもしれませんがそうなると通常運転もできない事になります。
1回も正常に始動したことはないのでしょうか

一つ一つの現象に対する原因想定は出来るのですが全ての整合が取れません。

一般的に始動時にブレーカがトリップする要因として

①ブレーカ容量が小さい
②始動時の瞬時要素でトリップする。
 一般的にはブレーカ定格の8倍程度で瞬時に動作する物が多いです。
③主回路の誤配線による過大電流の発生

直接的な原因は色々ありますが結果的に過電流に係わってきます。

現況を直接拝見していないのでハッキリとは断言する事柄がないのですが移設時に結線を外しているかも知れませんので再度その辺を確認されたらと良いかと思います。
不案内で申し訳ありませんがよろしくお願い致します。

AA:ご丁寧なご回答ありがとうございます。
結論から申し上げますと、工場一次側MDBのELB感度を上げることにより解決できました。
単純な原因であったにもかかわらず、全体を見渡すことが出来なかったようです。
ただ、御社のコメントは今後の対応に非常に役立つもので、本コメントは大切に保存しておきます。
今後、モーターに関する案件がありましたら、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

お客様が集塵機(22kw)をスターデルタ回路で起動しています。
スター⇒デルタの切替時間を一般的な切替時間=4+2√22≒13Sで設定した場合は、上位ブレーカはトリップしませんが、20Sで設定するとブレーカがトリップするようです。切替時間が長いと何か要因があるのでしょうか?
一般的に考えられる要因を知っておられるようであれば、ご教示ください。
集塵機のメーカと形式は不明です。

スターデルタ始動をしていてブレーカがトリップするようですが、過電流保護は、他にサーマルリレー等は設置されていないのでしょうか。
一般的にはサーマルの方が先に動作することが多いのですが・・・

状況的に切替時間を短くすると動作しないが長くすると動作する、という事は始動時間の長い負荷の場合、長い時間始動電流を流さずに、始動途中でデルタ(直入)に切替え、電流が増えても短時間で始動完了させた方がトリップしない傾向にあります。
(でもこれは正規な使い方ではありません)

トリップするタイミングが切替時だとすればその切替時は電動機からみると一瞬電源が断になりデルタに再投入された時、直入始動電流以上の過大な電流が流れます。
これでフレーカの瞬時要素が動作してしまう場合があります。
では何故、この場合、切替時間が短いと動作しないかというとまだ十分に回転が上がっていない状態だとほとんど直入始動していると同じとなり、スターデルタの欠点である切替時の過度電流が流れていないと思われます。
ある程度時間をかけて回転が上昇した付近で切替えると過度的な電流が流れブレーカがトリップする事も考えられます。
(ブレーカ容量との関係にもよります)

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